自費出版業界の展望(2018年現在)

自費出版の普及は目を見張るものがあります。
それは無軌道な流行ではありません。出版業界の動向とムーブメント、そして本を出したい人間と読む人間との需要がそのように要請していることの結果なのです。

昨今の出版業界の傾向としては、商業出版は実際は出版点数を増加させています。10万点を突破するほどの勢いです。しかし、当然ながら、出版点数=実売数、ではありません。
出版業界最大の問題、「返本」というものがあるのです。

返本を簡単に説明すれば、書店が仕入れた書籍のうち、売れ残り、かつ書店に保持しておく必要がないと判断された商品を、出版社に送り返すことです。
いくら多くの点数を出版し、たくさん印刷したのでも、売れなければ意味がなく、返本される割合(返本率)が高いと利益も下がり、製造コストはそのままマイナスに直結することになります。

去年の返本率は業界全体で50%に及ぶのではないか、という見解もあります。それを証拠づけるように、出版社の倒産・廃業が相次いで発生しています。

出版社が新刊を出版すると、取次という流通仲介業者が、それを全国の書店に流通させます。そして一定期間たつと、書店は返品を行います。お金が動くのは、このタイミングではありません。取次は、信用供与として、最初に、出版社に前受金を立てます。すると、それが次の新刊をだす資金となります。これを繰り返していけば、売り上げとは無関係に、自転車操業的にやりくりができます。
これは出版社の維持だけが続きますので、この自転車がうまく乗れなくなれば、倒産となるわけです。昨今の出版社の倒産の多くは、この自転車操業システムに原因があると考えられています。

対して自費出版には、このような信用貸しのような慣習がなく、作者の自己負担に応じて出版社の負担もへり、経営は安定する傾向にあります。

また今、動画の配信や音楽を公開するサイトの興隆にみられるように、自己表現を他者に向けて発信・発表したいという大衆の欲求が強まっています。出版においても、その敷居の高さは解消されつつあり、狭き門というイメージは過去のものと言えます。
今後、自費出版は一過性のブームではなく、日本の出版の常識を大きく変える新たな常識となっていくと思われます。

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