電子書籍と読み辛さ

電子書籍を読む人は確実に増えています。しかし現在の中高年は仮にデバイスを使いこなせたとしても、紙の書籍を敢えて選ぶ人が少なくないのだそうです。何故でしょうか。電子書籍は紙の本より安く、購入手続きもスマホやタブレット、パソコンから一瞬で行えます。小さなスマホ一つに何百冊、何千冊とストックすることも可能で、ポータビリティは紙の本の比ではありません。これらのメリットを享受できない紙の本を選ぶのは、若い人にとって理解しがたいことでしょう。

各種アンケート調査で浮かび上がってくる理由の一つに、「読み辛さ」があります。電子書籍はテキストと画像データをデバイスの画面上に表示したものです。確かに紙の本のように一枚一枚めくる(指を紙と紙の間に挟む)動作は叶いません。ペンで書きこむことも、本の厚さを感じることもできません。また紙の本の紙面に画像が印刷されている場合、電子書籍化すれば、テキストと画像との位置関係を正確に転写することができません。ただこれらの特徴は物理的な本として存在しない電子書籍の当然の性質であり、「読み辛い」と形容するのもどうかと思われます。中高年は幼少時の絵本、学生期の教科書等は全て紙の本でした。その体験年数が長期にわたるため、紙の本が消滅することへの潜在的恐怖を抱いているからこそ、読み辛いと思ってしまうのだと解釈できます。

進取の気性に富んだ若者はそうした恐怖感を抱いていないため、電子書籍に何らの抵抗も感じていません。実際電子書籍のおかげで若者の読書量は増加したと言われています。「若者の読書離れが進んでいる」と心配されていましたが、杞憂だったのです。画面上の文章を読む習慣が根付けば、今の中高年のようにその画面を遠ざけるのではなく、より良い電子書籍文化を創り出そうとするはずです。

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